息子が貴重な梅干しを頂いて来た。良い匂いがする。友人のお母さんが漬けた物との事。梅の表面にキラキラ塩が吹いている、口にすると、まろやかな、深い味がする。梅独特の酸味、クエン酸、ミネラル成分が一気に広がって−−じわじわと、旨味が残る。
実家の母を思い出した。土用干しをして梅干しを作る梅と、干さずに梅と赤じそを同時に漬ける梅漬けの2通りの方法を教えてもらった様だが、元来家事の不得意な我流型の母、習った事を忠実に守ったのは其の年だけ。土用干しの梅が1日陽に当たっただけで漬かっていた、まだ教えてくれた家では何回も天日干しをしていると言うのに、そうかと思うと、かめの蓋が開けてあって陽を当てたり、まともな梅干しの漬け方ではないまま、他界する一寸前まで梅も、野菜も漬け続けていた。
今でも忘れられない出来事の1つに、小梅のカリカリ漬けを母が農家の人に習った時の事。
大量に小さな梅を買って漬けた。同じ時に漬けた人がもう食べごろと教えてくれたと勇んで帰宅した母に「美味しいよ!噛むと口の中でカリカリと音がでるよ!!」とかめの中から、1つづつ口の中に入れられた梅ーーープシュ!とつぶれて、グワーとしょっぱい味が広がった。あの時の妹や弟の歪んだ顔が忘れられない。カリカリは??
私の実母、ハチャメチャだったおかげで、親戚が集った時は、お祝いであれ、不幸であれ、失敗談で笑いが止まらなくなってしまう。おかしいのは、漬ける事は大好きなのに、漬け物をあまり食べない母だった事。逆に、今の私、漬け物が大好きなのに漬け物を漬けない。即席漬けばかり。
母が私達が風邪をひくと梅干しを炭火で焼いて,黒くなった梅を湯のみに入れ熱いお湯をそそぎ、飲ませてくれた事を思い出す。今考えると梅干しは,我が家の風邪薬だったのかもしれない?。黒く焼いた梅が風邪薬なら笹に梅を包んで汁を吸ったのも何かの薬だったのかも?お腹の薬だったのかな?