広島の夜は池原義郎さん設計のグランドプリンスホテル広島だった。一寸町の中心からは遠い、旅行参加者の希望で、広島駅近くの元祖お好み村と言って、お好み焼きの専門店が建ち並ぶ所に行った人もいるが、私達5人は、広島中心の夜の町に出た。何しろ、牡蠣料理が食べたい一心だった、ひろしま料理専門の酔心へ、落ち着いたが残念な事に、生牡蠣はもう品切れとの事で、牡蠣の土手鍋、穴子の釜飯、カキフライなどとなった、仲井さんのアドバイスよく残す事もなく、そして充分満腹感を味わいホテルへと戻った。
師走を迎える町は華やいでいる。
クリスマスのイルミネーションや大々的な飾り付けがなされ彼方此方キラキラ。私達が歩いたアーケード街も華やいでいた、微動だにしない、人形に成り切った大道芸人が立っていた。細い細い折れそうな体、まばたきもせず、本当に厚みのない品のいい人形だ、彼の足下に”不動マネキン”の文字。指で一寸押したら乗っているトランクから落ちそうだ!! バタ臭いフランスの町の芸人達を思い出してしまった。
ホテルから望む瀬戸内海、見える範囲に点在する島の数、近く、遠く重なり合うように沢山の島が連なっている。牡蠣棚が黒く水面に並んでいる。早朝から舟も行き交う。
広島は三角州のデルタ上に築かれた町の為、地下鉄が通せない。路面電車が主となる、路面バスも3番目に数えられる程多いという。珍しいのは、懐かしい電車の宝庫で、被爆電車もあり、1番多いのは京都からの配線になった電車が広島では現役で走っているとの事。
町の動きを見ていて、電車が信号で、歩行者と共に停車したのを見て、思わず”おかしい”と思ってしまった。私だけでない、同行の友人、電車が自分の乗ったタクシーの前を通り過ぎた時”踏切はないの!”と言った為、タクシーの運転手が吹き出してしまったとの事。私と同じ、電車は電車でも路面電車だという事を錯覚してしまっていた。