伊勢古市に「麻吉」の料理店として創業200年、現在旅籠として営業中の宿に1泊。
木造建築、下の敷地から段々に2・4・6段階。
写真で見る2階部分が下の道路からの6階部分に当たる。3部屋、間仕切りを全開放ゆったりの宿泊と成った。道路から見える建物の内側はコの字型に長い廊下が回っている。
江戸時代には江戸の吉原、京都の島原、大阪の新町、長崎の丸山に並んで、此の伊勢の古市は「五大遊郭」と言われたとの事。古市の麻吉はかつてお伊勢さんへの「おかげ参り」の帰路、旅人の「精進落とし」の料理屋として栄えた。当時使用の調度品が麻吉資料館内に収納されていて、拝観を希望、翌朝ご主人の案内で1の蔵、2の蔵3.4の蔵の見学と成った。
江戸の職人の作った漆塗り膳に細かい配慮、心使いが施されているのを見、三宝院ご住職の”心”と何気ない調度品に人の”心”の現れを深く感じる事と成った。
麻吉の資料館に収集されているこれらの調度品は現在でも希望すると、古市の栄えた当時の料理を忠実に再現、資料館の飾り物の調度品ではなく実際に使って献立して下さるとの事。
何時かそんな、ゆとりの時間を麻吉の宿にて持ちたいなと思った。
3人揃って入浴中にすっかり夕食のお膳が整っていた。実は2階迄の階段、45度、蹴上げが高く足の短い私には大変、2度もスリッパが飛んでしまった。一般家庭の階段ではなく、はしご段みたいな感覚で此の階段を食事の膳を運ぶのは、大変!!とそんな事に感心してしまった。
朝散歩に出かけた、犬を散歩させている人が多い.行交う人、皆、気の良さそうな人ばかりで、気安く話しかけてくる。近くを近鉄線が走っている宇治山田駅で下車して此処に来たのと言う。近くに見える高い山を指差して浅間山という事、特別な見所はないが、油屋お紺のお墓があると、お墓じゃしょうがないが「直ぐ其処だよ!」と言う。
油屋お紺と言ったら歌舞伎の狂言で、伊勢音頭恋の刀??刃?忘れてしまったが何度か見たーーーあのお紺?と聞いてしまった、此処は伊勢、あの有名なお紺!
歌舞伎座で刀を振り回し、油でつるつるすベって転ぶ、舞台が目の前に展開した。
朝食は又別の部屋に用意してくれた。其の棟の階下には外国人の為の、バストイレ付き洋室もあるとの事だった。
朝食についた焼き魚、80歳過ぎてこんな魚の開き方初めて見たと言う同行者。関東と関西では魚の開き方が違う、背開きと腹開き、私は特別意識した事はないが江戸の名残で腹開きは切腹を意味するので嫌うという事は知っていた。お膳に添えられた開きは奇麗に背骨に沿って頭がついていた。
ちなみに我が家の食事、あじのひものだった。比べて見るなんて事はなかったが比べる物が並んで初めて何かを感じる!